【お酒とドラマ】『大豆田とわ子と三人の元夫』~「めんどくさい」ことすら愛おしい~

今回は『大豆田とわ子と三人の元夫』という国内ドラマに関する記事です。

※ネタバレほぼないはずです。ご安心ください・・・(笑)。

『大豆田とわ子と三人の元夫』とは

『大豆田とわ子と三人の元夫』とは2021年に全10話放送された連続ドラマ作品です。坂元裕二さん脚本、フジテレビ系列で放送されていました。

タイトル通り、主人公・大豆田とわ子と彼女の元夫3人のコミカルな日常を描く・・・というような作品です。

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スタッフ/キャスト

脚本を担当した坂元裕二さんはこれまで『東京ラブストーリー』や、『カルテット』など人気・話題作の脚本を手掛けてきた稀代のヒットメーカー。本作でも視聴者を惹きつける印象的なセリフや、軽快なセリフ回しが炸裂しています。

また、本作のEDは一つのトラックに、複数のMCが毎週かわるがわるラップしていくスタイルとなっています。そんな一風変わったEDをプロデュースしているのは、『クイズ☆タレント名鑑』や『水曜日のダウンタウン』などを手掛けている藤井健太郎さん。EDには彼と交友のあるヒップホップアーティストが参加しています。トラックメイクはSTUTSさん、ラップにはKID FRESINOさんやT-Pablowさんなどの若手MCが抜擢されています。

主役・大豆田とわ子を演じるのは松たか子さん。恋愛や仕事上の人間関係や、よく外れるベランダの窓の網戸、ややこしい家具の組み立てなどなど・・・色々な「めんどくさい」ことに奮闘・困惑する“×3女性”を、ユーモラスにそしてどこか淡々と演じています。

そして、彼女の三番目の夫でかなりのひねくれ者・中村慎森(通称・しんしん)を岡田将生さん、二番目の夫でなんとも器が小さい男・佐藤鹿太郎を角田晃広(東京03)さん、最初の夫で飄々とした優しすぎる男・田中八作を松田龍平さんが演じています。

お酒嗜みポイント(+ストーリー概要)

さて、色々とこの作品の魅力やお酒嗜みポイントを、全体のストーリー・テイストに沿って書いてみます。

本作は全10話あり、前半の1-6話までを第一章、7-10話までを第二章といったような2部構成を取っています。前後半で作品のテイストや作風が変わったりはしていませんが、サブキャラクターの入れ替えや登場人物間の関係性に変化が生じていきます。

まず、第一章では大豆田と元夫の3人のそれぞれの馴れ初めと別れ、元夫達に訪れる新たな出会いなど、大豆田と元夫のキャラクターの深堀りがメインとなっています。

大豆田と絶妙に「めんどくさい」元夫たちの可笑しなやり取り、元夫たちと彼らがそれぞれ出会う魅力的な女性たちの大人なサブストーリー、そして大豆田の親友でひたすらに“自由を愛する”・かごめの存在など・・・酒が美味くなるような魅力的な要素が満載。

とりわけ、第一章ラストの6話は面白く、「酒のつまみ」としてもおススメ。6話前半では、元夫たちと女性たちによる「餃子パーティー」にて、女性たちが元夫たちを前にして、彼らのダメダメなところを愚痴り合うという面白い場面が繰り広げられます。

この元夫たちのキャラ深掘り総まとめともいえる場面はニヤニヤ笑えると共に、筆者含め男性にとっては耳が痛い所でもあるかもしれません(笑)。ビールとかハイボール、そして餃子でも飲み食いしながら楽しんでみてください。

6話後半はそんなコメディタッチな会話劇のウラで、大豆田とかごめ、そして最初の夫・田中に起きた悲劇が描かれます。現象としては間違いなく悲劇ではあるのですが、劇中の音楽やナレーターの温度感がポップ寄りなため、空気がシリアスになり過ぎていません。この6話に象徴されるような観終わった時の後味の良さは、お酒を飲みながら浸れるような本作の魅力といえるでしょう。

 

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さて、後半の7-10話では大豆田の前に新たな“謎の男”・小鳥遊(たかなし)が現れ、彼女が未来へ進む兆しが示されます。大豆田と彼女にとっての未来を暗示する小鳥遊、そして過去・現在を暗示する田中(+かごめ)とのストーリーを軸に、「過去と未来」そして、「仕事とプライベート」といったテーマで葛藤し、答えを模索する大豆田が描かれています。「葛藤」と表現しましたが、これも終始重すぎない演出がなされているため、お酒片手に比較的カラッと観ることができます。

後半にも“謎の男”だった小鳥遊の正体が発覚する場面や、大豆田と田中のifストーリー(想像?妄想?タラレバ?)といった見せ場があります。もちろんそういった場面は画面に釘付けになるのですが・・・筆者としては後半における三番目の夫・しんしんの役割が健気で印象深かったです。

彼は大豆田の会社の顧問弁護士であり、且つ田中や佐藤、そして小鳥遊とも関わりのある立場。換言すれば、前述した大豆田の悩みのタネである「過去と未来」、そして「仕事とプライベート」について客観的に理解できる立場にいます。そして単に理解できるだけならばアドバイザーとしていれば済むのですが、まだ彼自身の中で元妻・大豆田を忘れられていないという思いもあり・・・。そんな微妙な立場にいながら、彼が大豆田の進むべき道を必死に助言する場面は、なんとも健気で愛らしく、印象深いところです。

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正直、本作の終盤はお酒片手に観てても、いつのまにか画面に釘付けになってしまうかもしれませんが(笑)、序盤から通してどこかドライで都会的、軽妙洒脱なテイストは崩れていません。

そんな小気味よいテイストを感じさせる要素は、坂本さんをはじめスタッフの方々による脚本や、演出の妙(かごめに起きた悲劇の描写など)、松さんや松田さんなどのキャスト陣のどこか淡々とした演技に依る部分もあるかと思います。

また、佐藤役・角田さんがメインの役にいることで、画面が明るくにこやかな印象を与えています。メイン以外にもかごめ役・市川実日子さんや、“謎の男”役・オダギリジョーさんなど存在感抜群でありつつも、画面にすんなりと馴染む方々の存在も大きい気がします。

そして忘れてはならないのがナレーター・伊藤沙莉さん。彼女のハスキーな声質とあえて淡々としたトーンは、どれだけ物語中にシリアスな展開があったとしてもそれを良い意味で軽くしてくれます。更には、毎回ラストにある松さん(大豆田)の「『大豆田とわ子と三人の元夫』!また次回!」のセリフと、その後の都会的なED、呑気な次回予告の流れもなんとも心地よい。EDに関わっているアーティストたちが、物語中にカメオ出演しているのも洒落が効いてて楽しいです。

全体的に漂う淡々とした雰囲気とコメディタッチな演出、ウィットに富み且つ説明過剰にならないセリフ回し、EDや大豆田のファッションから醸し出される都会的なお洒落感・・・そんな要素が後味の良さを演出し、酒のつまみとしても程よく機能していると感じます。

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