今回は筆者のお気に入り銘柄であるロングロウを題材に、それを飲んだ時に妄想した女性や風景を書いていこうかなと思います。
『ロングロウ RED 11年 ピノ・ノワールカスク』
ロングロウの基本的な特徴として、ヘヴィなピート香と塩っぽさ、オイリーな口当たり、バニラや蜂蜜の甘さなどが挙げられます。所謂、アイラウィスキーのような特徴ですが、ロングロウはアイラ島ではなくて、スコットランド・キャンベルタウンのスプリングバンク蒸留所で作られています。この生産地と中身の不一致性みたなものは、ある種ロングロウの個性といえましょう。
そんなロングロウはここ数年、「REDシリーズ」と呼ばれる限定版を年に一度販売しています。このシリーズではオリジナルのロングロウと同様の製造工程後に、特定のワインの空き樽にて後熟し瓶詰めして完成させます。
そうすることで、赤ワイン特有のベリーのフルーティさが加わり、通常のロングロウの美味しさとはまた違った魅力が出てきます。写真にあるのはそのシリーズの2019年度版です。
ピート香と塩っぽさ・オイリーさはオリジナルそのままに、赤ワイン樽(今年はピノ・ノワールの空き樽を使用。使用するワイン樽は毎年異なる)で後熟したことによる芳醇な果実の甘さが加わり、非常にバラエティ豊かな味と香りがバランスよく楽しめます。
ウイスキーを飲んで・・・妄想
筆者はこれを飲んだ時、多忙なアーティストの特別な朝が思い浮かびました。
晩夏、少し肌寒い朝方7時。ラグジュアリーなホテルの一室でふと目が覚めた女性。ベッドから身体を起こし、カーテンを少しばかりめくり、窓の朝露越しに静かな朝を寂しげな眼で眺めている。年齢は30代前半といったところだろうか。
白のルームウェアに、プラチナブロンドのミディアムヘアが映える。昨日は久しぶりのパートナーと過ごす休日、周囲から求められる個性的でスキャンダラスなキャラクターから解放される日・・・。
楽しかった思い出に浸りつつ、窓外から部屋に視線を向け、まだ呑気に寝ているパートナーを見ると思わず優しく微笑む。一足先にメイクや準備を済ませ、ホテルを出る。今日からまた仕事、いつもの自分じゃない自分に戻っていく。
こんな感じでしょうかね(笑)。キャンベルタウン唯一のヘヴィピートを誇るというロングロウの特徴から「個性」、そして、ワイン樽後熟による芳醇で華やかな甘さから「朝露」が浮かび、そこから妄想を膨らましたかたちですね。いやぁ、今回の妄想も楽しかったです(笑)。