投資におすすめなお酒とは?ワインやウイスキーのお金にまつわることを解説

昨今、お酒が投資商品として注目されている。ワインやウイスキーなどの人気な種類を筆頭に、お酒は景気に左右されにくい「オルタナティブ投資商品」として人気が高まっているのだ。しかし、お酒はほかの商品と同じく、投資を上手く展開させるには最低限の知識が必要とされる。

そこで今回は、これまでオーセンティックバーやホテルバーでお酒を嗜み、FP2級(ファイナンシャルプランナー)の資格を所有した「お金のセミプロ」である筆者が、お酒と投資に関する豆知識を紹介する。「趣味であるお酒を活用して投資にチャレンジしてみたい!」「お酒好きだけど病気などで未開栓のウイスキーを放置している・・・」といった人は、ぜひ記事を参考にしてみてほしい。

投資におすすめなお酒の種類とは?

まず、お酒に投資する場合、絶対に考慮しておきたいのが人気度・知名度、そして近年の値上がり具合や市場規模などだ。人気のないお酒やニッチ過ぎる銘柄は、あまり投資価値が高くない。そこで、筆頭候補になってくるのがワイン及びウイスキーだろう。詳しい理由は後述するが、ひとまずワインであれば安定の人気を誇る「フランス5大シャトー」、ウイスキーだとジャパニーズもしくはスコッチなどが投資に重宝する。

そもそもワイン・ウイスキーなどのお酒は、株式・国債・不動産などのクラシカルな資産と相関性が低い「オルタナティブ投資」の側面を持ち、たとえ世界が不況になっても影響を受けにくい。だからこそ、人気のお酒を投資に活用すれば安定的な運用ができる。景気にあまり影響されず投資したい場合はお酒がねらい目といえる。

お酒はコモディティ商品

投資における「コモディティ商品」とは、金・原油・天然ガスや、時計・車・美術品などの嗜好品を指す。アルコールであるヴィンテージワインや長熟ウイスキーも当然このコモディティ商品に当てはまり、スイス時計やクラシックカーなどと同じく富裕層から高い人気を獲得している。

このコモディティ商品は株式・不動産などと異なり、インフレといった経済上の変動に左右されにくく、分散投資に向いているというメリットがある。安定した投資運用にチャレンジしたい場合は、コモディティの一つであるお酒を活用してみるのもアリだ。

ワイン投資とは?気になる特徴やメリット・デメリット

まず、ワイン投資のメリット・デメリットなどを紹介する。長い歴史の中で人々を虜にし続けてきたワインの、投資商品としても魅力とはどのようなものなのか?

ワイン投資のメリット

ワイン投資のメリットから紹介する。値崩れのしにくさや長期投資のしやすさなど、ワインならではの魅力はいくつかある。

オルタナティブ投資ならではの値崩れのしにくさ

ワインはオルタナティブ投資としておすすめであり、不況のあおりなどを受けての値崩れが起こりにくい。希少性が高く人気のワインは、どんな世の中でも需要が安定して価値が下がりにくいのだ。どんな世でも、ヴィンテージワインは消費され続け、価値は失われない。

例えばインフレが起きて物価が上がれば、ワインの価値も連動するためインフレリスクなども避けられるだろう。そういった意味ではワインは分散投資先としても適している。

長期投資に向いている

ワインというお酒は投資界隈において、年数を重ねるほどに価値が上昇する傾向にあり、さらには流動性が低い商品。短期的にサクッと儲けたい場合には不向きなものの、十数年以上かける長期投資(長期保存・熟成)は大きなリターンが見込めるだろう。

ワイン自体が好きなら自由に飲める

ワインは大人が嗜む嗜好品であり、趣味や娯楽としての魅力を秘めている。ワインの歴史や銘柄別の個性を勉強している間に、ワインそのものの魅力に惹かれていくこともあるだろう。ワインを購入してコレクションしつつ、飲み頃になったら投資ではなく自分で楽しむのもアリだ。

ワイン投資のデメリット

つづいて、ワイン投資のデメリットを紹介する。メリット・デメリットを比較して、自分にとってワインは投資商品として向いているのか確認しよう。

初期投資がかかる

ワイン投資を自身でやるにはワインを購入する必要がある。さらにはワインセラーなども必要になるだろう。ワインは初期投資のかかるもので、最低でも数十万クラスは元手に必要といえるだろう。

保存状態によって価値が大きく変わるため知識を必要とする

投資全般にいえることだが、投資に活用する商品に関する知識は必要不可欠。ワインの場合はどの産地のどの銘柄が人気なのか、ブドウ品種ごとの特徴など、基本的なワインの知識はマストで身に着けておきたい。

特にワインはお酒の中でもデリケートな部類のため、保管状態に関する知識は絶対に備えておこう。もし保管状態が悪ければ、そのワインの資産価値はなくなってしまう。下記のポイントを踏まえてなるべく適切に保管していこう。

  1. 静かで安定した場所にて「温度15℃/湿度70~75℃」の状態で保管
  2. ベストな状態で売り出すために銘柄ごとに保管年数の把握
  3. コルクへの染み出しなどによる酸化・変色を防ぐ

以上のように保管を徹底しておけば、ワインの状態が悪化するリスクを低くできる。もし、ワインに関する知識が希薄で、勉強する時間がないのであれば「ワインファンド」を経由して投資運用するのがおすすめだ。ワインファンドは何人かの投資家が資金を出し合って、専門の運用会社がワインを購入・保管するというもの。個人でワイン投資するのが不安なのであれば、ワインファンドを考えたい。

円安ではコストがかる(為替リスクがある)

ワイン投資はヨーロッパ・アメリカなどの海外と取引するため、基本的にユーロ建て・ドル建てで実施する。そのため為替リスクを受けやすいのだ。ドルベースでは高く売れたものの、円ベースでは損をしてしまうなんてこも・・・。

ウイスキー投資とは?重要な特徴やメリット・デメリット

ワインに続いて、ウイスキー投資の特徴を紹介する。昨今、投資界隈でも話題の絶えないウイスキー投資について、基本的な部分を確認していこう。

ウイスキー投資のメリット

ウイスキー投資には様々なメリットがある。一体どのようなメリットがあるのだろうか。

市場規模などの成長が著しい

ウイスキーは数多あるお酒の中でも、市場規模などが最も成長している種類。サントリー三兄弟「山崎」「白州」「響」や、ニッカの「竹鶴」「余市」などジャパニーズウイスキーが世界的な成功を収めたことを筆頭に、ウイスキー市場は2010年代半ばから顕著に拡大し続けている。

株式会社グローバルインフォメーションによると、日本のウイスキー市場は2021年で7億ドル以上、2028年にはその倍である14億ドルに達するとされている。また、ウイスキー業界をけん引し続けてきたヨーロッパや、最近になってウイスキー業界に参入してきた中国など、世界のウイスキー市場も913億とかなりの規模感。

その勢いは留まることを知らず、ウイスキーの投資商品としての価値も高まり続けるだろう。ワイン市場がすでに熟成されたベテランだとすれば、ウイスキー市場は急成長を遂げているニューカマーといった感じだ。

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為替リスクを受けにくい(ジャパニーズウイスキーの人気)

ワイン投資のところで為替リスクがあることに触れたが、ウイスキーに関してはワインほどのリスクは少ないと思われる。というのは、ウイスキー業界においてジャパニーズウイスキーがスコッチなどに負けず劣らず人気であり、国内での取引も盛んな側面があるのだ。

もちろん、ワインと同様に国内外で取引する場合は、為替による損失が発生するリスクを常に抱えている。手数料や送料などの負担もそれなりになるだろう。ただ、日本国内でも取引しやすいのは、ウイスキーならではの魅力といえる。

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プラットフォームが整備され始めている

ウイスキー投資は急増するニーズに対応するように、プラットフォームが整備され始めている。投資への参入障壁が低くなり、素人でも投資しやすくなっているのは大きな魅力だ。なかにはウイスキーの樽を投資商品とした「ウイスキーカスク投資」などもあり、一口にウイスキー投資と言っても様々な投資・運用ができるのも良さである。

ウイスキー投資のデメリット

様々なメリットがあるウイスキー投資だが、ウイスキーならではのデメリットも存在する。

入手するのが難しい抽選

ウイスキーはあらゆる銘柄の人気が高まっているため、そもそも入手するのが困難である。せっかく投資したいウイスキーがあっても、抽選販売や争奪戦に勝ったり、最適な酒屋などとのコネクションを構築しなければゲットできない。

投資するタイミングがやや読みづらい

ウイスキー業界は急成長している段階なため、各銘柄の購入タイミングを読みづらい傾向にある。もしかしたら、高値掴みする可能性もあるのだ。また、定番のスコッチか、人気のジャパニーズなのか、それとも新規参入の中国系ウイスキーか、どのウイスキーが投資商品として向いているのか判断する先見性も磨く必要があるだろう。

お酒を投資商品にするときに考慮したいポイント

ここからはお酒を使った投資をしたい時のポイントをチェックしていく。

市場規模や人気度

お酒の投資を考える時に大切なのは、そのお酒の業界の動向や市場規模、そして人気などだ。不人気で市場規模の成長が見込めないお酒は投資価値がない。だからこそ、ワイン・ウイスキーといった市場規模が大きく、世界的な人気を誇るお酒は投資に活用される。

その点で考えると、クラフトブームの火付け役となりウイスキーレベルで発展している「ジン」や、ペアリングブームに伴って試行錯誤が繰り返され人気が再燃しつつある「日本酒」などは、投資商品として活用する価値があるだろう。

保管のしやすさ

お酒の投資において、保管のしやすさは考慮しておきたいことだ。仮に自分で投資活動するとしたら、購入後の保管方法がラクであれば投資の参入はしやすい。お酒の天敵である酸化や変色に気を付けて、湿度・温度に気を配り、直射日光を防ぐのは管理方法として最低限抑えておきたいところ。

保管のしやすさでいえば、アルコール度数が高く不純物の少ない蒸留酒がおすすめだ。蒸留酒はたとえ開栓しても、長期保存しやすいお酒。「ウイスキー」は当然のことながら、ニッチな人気を誇る貴族なお酒「ブランデー」、人気急上昇中の「ジン」、このほか「ウォッカ」「テキーラ」「焼酎」などは、蒸留酒の代表的な種類といえる。

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投資におすすめの銘柄

最後に投資に向いている銘柄を紹介する。数多あるワイン及びウイスキー銘柄の中でも、安定した投資ができるであろうおすすめのものをまとめているので、ちょっと興味があればチェックしていってほしい。

投資に向いてるワイン

ワインは銘柄によってかなり初期投資のかさむ商品だが、すでに市場は大きく安定したものになっているので、絶対に失敗したくない場合におすすめ。

シャトー・ラトゥール

フランス・ボルドー地方で造られるワインで、素人でも耳にしたことがあるだろう「シャトーワイン」の代表格。所謂「5大シャトー」の一つとして数えられ、安定して高品質なものを世に送り出してきた。色濃く渋みの素(≒タンニン)が豊富な一方で、凝縮された果実味や深い円熟味も相当にある。

年代問わず安定した美味しさと評判があるため、ワインの長期投資商品としておすすめだ。ワイン投資に迷ったのであれば、このシャトー・ラトゥールから始めてみても良いだろう。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ

フランス・ブルゴーニュ地方で造られたワインで、シャトーワインにも負けず劣らずの人気がある。希少価値が高く初期投資こそかかってしまうが、投資商品としてはおすすめだ。

投資に向いてるウイスキー

基本的にウイスキー業界で投資に向いてるのは、ジャパニーズ及びスコッチだと思われる。どちらも所謂「5大ウイスキー」に属するが、ほかのバーボン・アイリッシュ・カナディアンと比較すれば人気や銘柄の豊富さは群を抜いている。もちろん、バーボンにも「ジョージ・T・スタッグ」などの超人気銘柄が投資に向いているものの、新品でゲットするにはかなり苦労するだろう。

そうした激レアな銘柄よりも、ここで紹介している「初期投資がかかるけど抽選などでゲットできる銘柄」を投資商品として考えるのが現実的だ。特にジャパニーズは国内入手ができるのでおすすめ!

山崎

日本を代表するジャパニーズウイスキーの一つ。巨大企業・サントリーが手掛けるウイスキーの筆頭銘柄であり、日本らしいまろやかで深みのある味と香りは多くのファンを獲得している。十年弱前までは大衆居酒屋にも置かれていたが、今では銀座など高級商業地のバーやクラブでしかお目にかかれなくなった。

「山崎」や「白州」にはワンショット数万円するバージョンもあり、それなりの初期投資が必要なものも多いが、長い目で投資運用するならその価値は十分あるだろう。

イチローズモルト

埼玉県・秩父で造られるクラフトウイスキーの名門。サントリーやニッカに次ぐ存在として、国内外で高い人気を誇る。その繊細な味や香り、風味は初心者から玄人に至るまで幅広くおすすめできるクオリティー。こちらもそれなりの初期投資が必要になるが、長い目で見ても安心した運用ができる銘柄の一つだといえるだろう。

お酒の投資で資産運用してみよう!

今回はワインやウイスキーの投資に関して紹介した。もし、趣味をお金につなげたい場合や、ずっと飲めていないお酒の処分で迷っている時などは投資にチャレンジしてみてください!