2020年春先ごろから話題となっていたコロナウィルスの流行と、それに伴う「遊び」への自粛ムードは、バーをはじめとした飲食業界に大きな影響をもたらした。今回はコロナがバーへもたらした光と影、コロナ禍で垣間見れた東京都内のバー事情を、東京都内のバーテンダーや飲み屋の店主から得た情報を基に書いていく。
インバウンドの急速な減少
コロナ禍ではインバウンドの減少と、それに伴う経済的停滞が社会問題となっている。近年、東京都内のバーではインバウンドのニーズが高まっていたため、そうしたインバウンドの減少による影響は顕著に表れている。特に銀座や六本木、浅草といった有名な観光地にあるバーでは、経営上インバウンドの獲得を重視していたため、コロナ禍では非常に苦境に立たされていた。
遊べなくなった高所得者層
古くからバーの主な客層は会社経営者や管理職といった社会的地位が高く、会社内(組織内)・家庭内ともに責任のある立場の方々だった。コロナ禍ではそういった方々が「夜の街」で遊ぶことを控えているため、上記のインバウンドの減少と共にバー界隈に大きな打撃を与えた。 特に銀座や赤坂、六本木(麻布エリア)のバーは高所得者層の方々に支えられていたため、経営上不況に陥っていたようだった。
若年層のバーニーズの高まり
コロナはバー界隈に上記のようなインバウンドと、高所得者層の減少といった「影」を落とした。しかしながら、そんな暗いバー界隈にも一点の「光」が差し込んでいる。それは20~30代を中心とした若年層のバーニーズの高まり。コロナの流行が一因で、地域差はあるがオーセンティックなバーにも若年層が通い始めているらしいのだ。
例えば、若年層の流入が最も顕著なのは神楽坂。神楽坂ではここ数年間でメイン通りにファミレス・居酒屋のチェーン店が増えたことで、コロナ流行前からメイン通りは若年層から一定の人気があった。そうした中で、コロナの流行と「三密」を避ける風潮が生まれ、静かにお酒を楽しみたい若年層からのバーの需要が高まったようである。恵比寿や中目黒、代官山等にあるファッショナブルさ・派手さのある居酒屋・レストランは少ないものの、神楽坂の脇道には隠れ家的な食事処・バーが多くある。コロナ禍でそうした神楽坂の本来の魅力が認知され始めており、筆者としても非常に喜ばしい限りだ。
また、浅草では秋ごろから、東京観光目当ての若年層の流入があるようだ。以前から浅草は東京都内でも観光地として知られていたが、最近のコロナ禍では「Go To キャンペーン」や「都民割」を活用したい東京在住の若年層からの支持を拡大させている。そうした浅草観光の一環でバーで楽しむことが増えたと推察できる。下町のため古くからの地元住民を常連客として掴み、銀座と同等以上のインバウンド需要の高さに加えて、コロナ禍では東京都内の観光地として若年層からの人気を集める・・・浅草は今後さらに発展し続けていくだろう。
コロナ禍だからこそバーに行ってみよう!!
バーでは換気やスタッフのマスク着用、席間の十分なスペース確保、来客の手指のアルコール消毒・体温計測、バーカウンターへのアクリル板設置といったコロナ対策を万全に行われている。コロナ禍だからこそ来客同士が回し飲みをしない、騒がない、一定以上のホスピタリティを担保しているバーでお酒を楽しんでみては?