【地域別】スコッチシングルモルトメモ

現在、世界各地で造られ、世界中で愛飲されているウィスキー。その中でも圧倒的なブランド数・蒸留所数を誇る地域が、イギリスを構成するカントリーの一つ・スコットランドである。

所謂“スコッチウィスキー”の生産地であるが、スコットランドのどこで造られるのかにもよってその香り・味わい、風味などはブランドによって千差万別。

このページでは筆者の個人的な情報整理も兼ねてスコッチウィスキーのブランド・蒸留所を網羅的且つ簡易的にまとめている。非常に浅く広く且つ主観も交じった内容になっている。しかも全体で7000字強のボリューム。興味のある方だけ暇つぶしにどうぞ?(笑)

まとめているブランド・蒸留所はスコットランドのシングルモルトウィスキーのみであり、「ジョニーウォーカー」や「バランタイン」などのブレンデッドウィスキーについては記載していないので悪しからず。

なお、各ブランドはスコットランド内の主要な生産地別で記載している。そして、数多あるブランドの中でも主要なもの(ウィスキーに興味があるようならば一度飲んでみても後悔しないもの)は太字で強調してある。

 

スペイサイド

スコットランドの北半分・ハイランド地方北東部、流麗なスペイ川近くの地域を指す。スぺイ川の流域的に実質「スペイサイド≒ハイランド」としても差し支えない。だが、スコッチウィスキーの半数以上がこの地域で生産され、且つ地域独特の個性があるため現在はハイランド地方内にありながらも独立した通称となっている。

スペイサイドウィスキーの特徴を無理やりまとめるならば、スムースな口あたりと、個性豊かな甘み・飲みごたえのある味、そしてほどほどの風味・余韻・・・といったところか。

ザ・グレンリベット:スコッチウィスキーの原点とも称される。正確な創業年は調べられなかったが、1824年に「グレートブリテン王国」政府から初の公認蒸留所として認められており、少なくとも200年程度の古い歴史があることは想定できる。このザ・グレンリベットと創業者ジョージ・スミスは、ウィスキー造りの合法化に一役買った偉大な存在といえる。

モ―トラック:ウィスキー激戦区・ダフタウン地区にて最古参。グレンフィディックの生みの親・グラント一家(というか、ウィリアム・グラント)が働いていたらしい。別名「ダフタウンの野獣」。残念ながら飲んだことはない(笑)。

グレンフィディック:日本でも高い知名度と人気を誇る。創業は1887年でしばらくはブレンデッドウィスキーの原酒として重宝され、1963年に業界初のシングルモルトとして市場に出回った。フルーティな香り・味わい、そしてライトな飲み口は、女性やウィスキービギナーにもおススメ出来る。筆者をウィスキーの魅力に引きずり込んだ罪深き酒でもある(笑)。

バルヴェニー:グレンフィディックの姉妹ブランド的存在で、元々は1892年にグレンフィディックの第2工場を利用して造られ始めた。ウィリアム・グラント&サンズ社(グラント一家)伝統的製麦方法・フロアモルティングなどを用いつつ丹精込めて造っている。

グレンファークラス:スぺイ川中流域に1836年創業。長い歴史の中で紆余曲折ありつつ、グレンフィディック及びバルヴェニーを手掛けているグラント一家により造られている。ポットスチルはスペイサイドの中でも最大級で、古くからの直火焚きにより蒸留。

クラガンモア:1869年にジョン・スミスによって造られ始める。ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。ポットスチルの頭部が平面で徹底した蒸留がなされるため、軽やかな口当たりとフルーティさが生まれる。創業者・ジョンはあのジョージ・スミスの実子ともいわれているらしい・・・?

ストラスアイラ:スコットランド最古とされる1786年、ストラスアイラ蒸留所がキース地区にて創設。シーバスリーガルのキーモルトで、フルーティな華やかさが特徴的。オイリーな口当たりが良くしっとりと嗜める。

アベラワー:1826年の創業。シェリー樽・バーボン樽で2回熟成させることで、リンゴっぽい濃厚で強い甘さを感じさせる。

グレンアラヒー:1967年創業の比較的新しい蒸留所。蒸留時の冷却をゆったりとすることで、甘さもあるが、スパイシーで飲みごたえのあるフルボディな味わいとしている。

マッカラン:スペイサイドの看板役者。1824年にスぺイ川中流で造られて以来、密造酒時代を経て、現在ではその華やか且つフルーティな味わいで人気を獲得している。現在はエドリントン傘下。スペイサイドの中で最小の蒸留器・ポットスチルを使用しているためか、フルーティであるもののしっかりと飲みごたえのある味わいになっている。

グレンマレイ:スペイサイドの中ではそれなりの都市・エルギンにて1828年創業。オーナーが変わり続け現在はフランスのラ・マルティニケーズとなっている。飲んだことない。

リンクウッド:エルギンにて1821年に創業。たぶん飲んだことない。

ザ・グレンロセス:1878年の創業以来、長い間ブレンデッドウィスキーの原酒として使われていた。筆者はボトラーズブランド・クーパーズチョイスによるアレンジがお気に入り。

グレングラント:1840年にスぺイ川下流「グレングラント川(通称、ブラックバーン)」近くで造られ始める。蒸留に使うポットスチルの構造上、ライトでクリアな味わいとなっている。

スぺイバーン:1897年にローゼス地区にて創立、ドラム式モルティングを導入。飲んだことない。

カーデュ:スペイサイドらしい華やかさが特徴。女性にもおススメかな?

ロングモーン:日本ウィスキーの祖・竹鶴政孝がかつてウィスキー造りを学んだ蒸留所。1893年の創業以来、スムースな口当たりとフルーティな味わいが人気を博している。

オルトモア:1897年創業、ブレンデッドウィスキー・デュワーズのキーモルトで、現在はバカルディ傘下

グレンエルギン:1898年創業、有名ブレンデットウィスキー・ホワイトホースのキーモルトとしても有名。飲んだことないかも・・・(笑)。

ベンロマック:ボトラーズ「ゴードン&マクファイル」により生産、スペイサイドだがスモーキーな印象。潮風は感じない

ベンリアック:1898年に創業。伝統的なフロアモルティングにて製麦している。スモーキーなタイプのボトルが美味しかったかな。

 

ハイランド

スぺイ川周辺を除くハイランドのウィスキー産地。スペイサイドやアイラなどと異なり、香り・味わいや生産方法の統一感は希薄である。ここではハイランドを更に東西南北で分けて記載する。

北ハイランド

ウルフバーン:1821~77年にスコットランド北端の町・サーソーに実在した蒸留所。2013年頃から本格的に再稼働。飲んだことない。

オールドプルトニー:200年近くの歴史がある蒸留所だが、オーナーが安定せず脚光を浴び始めたのはここ数年。フルーティさとオイリーさがある。

クライヌリッシュ:グレンモーレンジィと共に人気の高いハイランドのウィスキー。フルーティで爽やか、少しオイリーっぽさもあるかな。

ダルモア:ボトル前面に描かれた牡鹿が特徴的。そういえば飲んだことないかも・・・(笑)。

グレンモーレンジィ:ハイランド地方を代表する人気ウィスキー。前身はビール工場で1843年創業。スコッチNo.1の背の高いポットスチルで蒸留されるウィスキーは、ルックス・キャラ共に華やかで優雅。なんだか「グレンモーレンジィ」という名前までも煌びやかに輝いている気がしてくる。世間知らずのお嬢様って感じ。

バルブレア:1790年創業の古株。それ以外知らない。

ダルウィニー:気象観測所も兼ねた蒸留所で、創業は1897年。ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。冷涼な地域で熟成され、味わいはフルーティでマイルド。

トマーティン:創業は1897年で、1980年代の倒産の際に宝酒造が買い取り、スコッチ初の日本企業オーナーの蒸留所になった。筆者は飲んだことないのよ・・・(笑)。

東ハイランド

グレングラッサ:スペイサイド地方のほど近く、小さな港町・ポートソイにて創業。オーナーはブラウンフォーマン社

グレンドロナック:1826年創業、シェリー樽熟成によるフルーティな甘みを特徴としている。ブレンデッドウィスキー・ティーチャーズのキーモルトになっている。

グレンカダム:ブレヒンという町にて操業している。オーナーはコロコロ変わっている。ええ、飲んだことない。

グレンギリ―:創業は1797年で古参組。オーナーはサントリー。ノンピートで飲みやすい。

西ハイランド

ベン・ネヴィス:1825年創業、現在はニッカウィスキーがオーナーとなっている。飲んだことない!!うぇい!!

オーバン:1794年創業という西ハイランドの古参蒸留所。ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。フルーティでスモーキー。美味い。

南ハイランド

グレンタレット:1775年創業の最古参で、ネズミ捕りの名描「タウザー」がいたとしても有名。エドラダワー並みの小規模蒸留所で丹念に造られる。

アバフェルディ:キーモルトになっているブレンデッドウィスキー・デュワーズの原酒確保のため1896年に創業。恥ずかしながら飲んだことない(笑)。

ディーンストーン:前身は元紡績工場で1785年に建造。それ以外知らない。

グレンゴイン:ハイランドとローランドの境目に蒸留所がある。クセが少なく優しい味わい。

タリバーディン:フランスのメゾンミッシェル・ピカールがオーナー。華やか。

ブレアアソール:1798年に創業で、夏目漱石が訪れたことのあるピトロッホリーに蒸留所を構える。飲んだことない。

エドラダワー:1825年創業、ボトラーズブランド・シグナトリーによる小規模経営、イチローズモルトのモデル?・・・そんな蒸留所。ミルキーで優しい。中野のバーで飲んだシェリー樽熟成美味かったな~。

ロッホローモンド:かつての古株蒸留所・リトルミルの第2工場として稼働。モルトウィスキーはもちろん、グレーンウィスキーもリリースしている。全英オープンの公式ウィスキーになっている。

キャンベルタウン

スコットランド・キンタイア半島の先端にある小さな港町。かつてアメリカ禁酒法時代(1920~1933)に粗悪な密造酒を大量に売りさばいていたことから、酒解禁とともに悪いイメージのキャンベルタウンのウィスキー産業は低迷してしまう。

現在はスプリングバンク蒸留所を筆頭に、限られた少ない蒸留所が稼働している。

スプリングバンク:近年、日本でも人気が高まっている香り高く、フルーティなウィスキー。1828年創業から現在まで酒作りを続けている。製麦方法は伝統的なフロアモルティング。スプリングバンク蒸留所では他にライトなウィスキー・ヘーゼルバーン、そしてピーティ且つハニーなロングロウが造られている。筆者はヘーゼルバーンのシェリーウッド、そしてロングロウのREDシリーズが大好き、これ来週のテストにでるとこね。

グレンガイル:設立は1872年だが、色々あって(?)2000年から本格始動。大麦収穫~ボトリングまで一貫してキャンベルタウンで行っている。キルケランをリリース。

ローランド

現在、スコッチはスペイサイド(ハイランド)及びアイラ島が主な生産地となっている。しかし、スコットランドとイングランドが合併する1707年より前(=ウィスキーの重税化以前)、ローランドはハイランドを凌ぐウィスキー生産地であった。

合併後に課税が厳しくなり密造酒時代に突入すると、エジンバラ・グラスゴーといった大都市を擁し、役人の目が厳しかったローランドでは密造が難しく生産量は顕著に落ち込んでいった。

その結果、ローランドでは課税に耐えられるくらい安価&大量に作れるグレーンウィスキー作りが盛んになる。更には商人・アンドリューアッシャーによるブレンデッドウィスキー(モルトウィスキーとグレーンウィスキーをブレンドしたウィスキー)の発明に至る。

ただでは転ばないシティ派ウィスキー!

オーヘントッシャン:3回蒸留から成る都会的で軽い味わいで、まさにローランド地方のウィスキーという感じ。1823年に創業したとされる。

グレンキンチー:ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。スコッチ最大級のポットスチルで造られるため、ライトな味わいとなっている。

アイルサベイ:グレーンウィスキーの「ガーヴァン蒸留所」の敷地内で生産されている。グレンフィディック・バルヴェニー・キニンヴィのグラント一家が手掛けている。飲んでない~。

キングスバーンズ:創業は2014年と非常に若手。飲んだことないや。

グラスゴー:スコットランド西南(キャンベルタウン近く)にある大都市・グラスゴーに約100年振りに誕生した蒸留所。「1770」というウィスキーが看板商品。飲んでない。

ブラッドノック:スコットランド最南端・マッカ―ス半島に位置する蒸留所。オーナーがしょっちゅう変わるため、もう誰がオーナーだかわかりゃしないところ(笑)。

アイラ

スペイサイドとともにスコッチの代表的産地で、西岸沖に浮かぶヘブリディーズ諸島の一つ。

アイラモルトの特徴は、スコッチウィスキーの原料・大麦麦芽を乾燥させる時に、アイラ島に広がる「ピート(ヒースという植物が自然に炭化したもの)」をふんだんに使うことにある。

そうすることでアイラモルト特有のピーティでスモーキーな香り・風味が生まれる。内陸のスペイサイドなどでもピートは使われることは少なくないが、島特有の潮風に吹かれたソレとは個性の強さが段違い。

カリラ:1846年に創業したスモーキーでピーティ、ドライな潮っぽさを感じるウィスキー。口当たり・味わいがどっしりとしたラガヴーリンとは対照的に、少しのスパイシーさと爽やかな味わいがカリラの特徴。対岸にはジュラ島が見える。

ブナハーブン:アイラモルトの中ではかなり珍しいスモーキーっぽさがほぼないウィスキー。対岸にはジュラ島が見える。

キルホーマン:久しく新しい蒸留所が出ていなかったアイラ島において、実に124年振りに創業したニューカマー。創業年は2005年で、自社農場での大麦栽培から伝統的なフロアモルティング、蒸留やボトリングまで一貫して小規模な蒸留所(農場型蒸留所)にて行い、ピーティで上質なアイラモルトを生産している。2020年のクリスマス限定版は特に最高だったなぁ~。

ブルックラディ:蒸留所が1881年創業と比較的新しいウィスキーで、ボウモアの製造にも尽力したジム・マッキュワンにより発展してきた。アイラではあるものの、スモーキーさは控えめ。ブルックラディ三兄弟(ブルックラディ、ポートシャーロット、オクトモア)ともいえるピートや華やかさのニュアンスの異なる3つのブランドがリリースされている。

ボウモア:玄人だけでなく一般認知度も高いアイラモルト。1779年創業というアイラモルトの中で最古参、木製の発酵槽使用且つフロアモルティングという伝統的な製麦方法を取っている。ブルックラディとキルホーマンという新しい蒸留所とは、立地的にインダール湾を挟んだかたちで蒸留所があるイメージ。スモーキーさと潮風を感じる風味が心地よい。

アードベッグ:1815年の創業以来、世界中のウィスキー好きから支持を得てきた。近くにポートエレン製麦所。モルティング(モルトを乾燥させる工程)の多量なピート使用による強烈なスモーキーフレーバー、そしてピューリファイアと呼ばれる精留器使用の蒸留による品のあるフルーティさが特徴。毎年のアードベッグデーに心弾ませる。

ラガヴーリン:創業は1816年で、アイラモルトの中でもスモーキー且つヨードっぽい、そしてフルボディな味わい。大人なウィスキー。ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。近くにポートエレン製麦所。いつかのあのバーで飲んだオールドのラガヴーリン、めちゃくちゃ美味かったな~。

ラフロイグ:日本では「正露丸・薬品」として親しまれ、そして煙たがられているウィスキー。チャールズ皇太子のロイヤルワラントを授かっている。製麦方法は伝統的なフロアモルティング。近くにポートエレン製麦所。某欧州国流通版は最高に美味しかったな~(笑)。

 

アイランズ

アイラ島を除くヘブリディーズの島々を指す。アイラ島と比べて蒸留所やブランドの数は少ないが、それぞれ個性豊かなものが揃う。

ハイランドパーク:「ハイランド」とあるがハイランド地方ではなく、スコットランド北にあるオークニー諸島の北緯59度の位置で造られる。創業は1798年で古株にあたり、ボウモア・ラフロイグと同様に伝統的製麦方法・フロアモルティングを続けている。まろやかさのあるウィスキー。

スキャパ:オークニー諸島・メインランド島で造られる。

タリスカー:険しい山脈と荒波に囲まれた「ミスト・アイランド」スカイ島にて、1830年に創業した島唯一の蒸留所。ディアジオ社の「クラシックモルトシリーズ」の一つ。看板商品「タリスカー・ストーム」はスパイシーさと潮っぽさが強く出る。いつかスカイ島でグラス片手に嗜んでみたい。

トバモリ―:創業は1798年の最古参蒸留所。ノンピートのトバモリ―と、ピーティでオイリーなレダイグの2つを生産している。筆者としては断然レダイグが好みだったりする。

アイル・オブ・ジュラ:創業は1810年で古株に入る。飲んだことないな。

アランモルト:アラン島で造られるノンピートのウィスキー。なんかバッチ4だっけかな、わりと美味かった。

 

最後に

以上、スコッチのシングルモルトウィスキーまとめ終わり。これまでバーでそれなりに飲んできたつもりだったが、改めて整理してみると飲んでいないブランド、知らなかった蒸留所が物凄く多くて呆然とした・・・。

スモーキーさやシェリーっぽさ、ワイン樽特有の甘み、ドライな風味、長い余韻などなど、今までバーテンダーの方々に自分の好みにあったボトルを紹介してもらって、範疇にない系統は全く飲んでいないのだなと実感。