今回は、“BAR”を舞台にしたコントを4本紹介する。どれも中堅~ベテランの芸人による絶品コントで、終始ニヤリとできることうけあいだ。ぜひお酒片手に、ライトに楽しんでみてほしい。
サンドウィッチマン「マスター」
あらすじ
照明暗めなショットバー風の酒場にて。ベストを着た「金髪でメガネで小太りの悪人顔」なマスターが暇そうにグラスを拭いていると、そこへシックなスーツを身に纏った客がふらりとやってくる。
客が「マスター、いつものやつ」とオーダーすると、マスターは「はぁ・・・」とため息をもらす。いかにも渋そうな酒を好んでいそうな男だが、彼の眼の前のショットグラスに注がれたのはなんと牛乳だった・・・。
サンドウィッチマンらしいライトに楽しめるコント
サンドウィッチマンライブの名物キャラコントの一つで、彼ららしいテンポのよいやり取りをずっと楽しめる。富澤さん演じるキャラはいっけんおかしな迷惑客っぽいが、店で悪態をつく、ほかの客に絡むなど迷惑行為はしていないっぽい。そもそも飲むのはいつも牛乳なので悪酔いの心配がない。
マスターはこの常連のために牛乳入れているらしいが、きっと彼との時間はキライじゃないのだろう(笑)。ところで、BARで嗜む牛乳はおいしいのだろうか・・・?サンドウィッチマンの二人は下戸だそうで、もしかして彼らもBARでは牛乳を飲んでいたりして?
シソンヌ「知らない自分」
あらすじ
ジャズピアノが流れるオーセンティックスタイルのBARに、とある一人客が訪れる。ブラウンジャケットの似合う、低めのトーンの声で落ち着いた感じの紳士だ。
客はハイカウンターに腰掛け、バーボンウィスキー・ブラントンをオーダーする。老舗メーカーから造られ、甘みとキレのバランスが評判のウィスキーだ。落ち着きのあるこの客にもマッチしているお酒。ひと呼吸して、客は続けざまにバーテンダーへ「お尻を見せてもらいませんか」と願い出る。バーテンダーは彼からの突拍子もないお願いに戸惑うが・・・。
ちょっぴり下品だけど高貴なセンスが漂うコント
20分以上の長尺コント。小さめのカウンターセットが2つ並べられ、観覧の客席に対してそれぞれじろうさんが正面、長谷川さんが“お尻”を向けてやりとりする。少し変わった見せ方だが、カウンター越しでの2人の会話は妙にリアルで引き込まれる。
筆者の知る限りBARコントの中では圧倒的にストーリーがしっかりとしているので、コントとして非常に見ごたえがある。それにしても、少し下品でワケのわからない脚本なのに、ほのかに上品な雰囲気が漂うシソンヌスタイル。なぜこの二人のコントはセンスっぽく感じるのだろうか?
ジャルジャル「オープンしたてのバーの常連客になってあげた奴」
あらすじ
このバーはオープンして3ケ月の新店。店主は脱サラしてお店を始めたようだ。バーカウンターのほかに、テーブル席も充実したカジュアルなダイニングバーっぽい雰囲気。そこにとあるネット配信者が訪れてくる。
客は入店時で既にカメラを回しており、店主からオーダーを受ければ食い気味に「自前でごめんね」と持参したドリンクを飲み始める。見るからに招かれざる客だ。店主は陰で「最悪や、毎日来るやん」と隠れて文句を言うが、そんな彼をよそに客の言動はどんどんエスカレートしていく!!!
イラつき度MAXなキャラコント
ジャルジャルによるキャラものコント。ストーリーはあってないようなものでまさに荒唐無稽。許可なしでカメラを回す、客に絡む、オーダーしないなどなど・・・ほかのBARコントで出てくるキャラを軽く凌駕する圧倒的な悪客っぷり。
疑いようのない悪客だが、なぜか店側は3ケ月にも渡り出入り禁止にしない。良くも悪くもノリだけのコントで、筆者はそのノリに負けて思わずイラついてしまった(笑)。このコントはフィクションです。真似したら普通は出禁or通報です。
東京03「BAR」
あらすじ
舞台は地下型のややカジュアル寄りなオーセンティックバー。小さめのテーブル席には、サラリーマン風の2人組がいる。あとから合流した新規っぽい一人が「すげーわかりずらかったぞ、この店。よく来るの?」と言うと、常連風のもう一人が「まぁ・・・行きつけってやつ?」と気取りながら答える。
新規は常連に促されるまま、渋々飲みなれないカクテルをマスターにオーダー。2人で談笑しつつ、そしてナッツをつまみながらカクテルを待つ。しかし、いつまでたってもカクテルが提供されない。延々と続くマスターのシェイキングに、BARに慣れていない客のイライラは募っていくが・・・?
東京03の世界観に導く短尺のコント
東京03にしては珍しく7分ほどの短いコント。彼ららしい展開はほぼないが、リアリティーのあるやり取りと角田さんの独特なキャラは十分に堪能できる。飲みなれていない客に対して、テイストやアルコール度数を尋ねて作るのはあるある。さらに、客側の談笑内容が友人の結婚や健康診断についてで、そちらも妙にリアリティーがある。
そして「じゃあ飲みなよ、ここちょっとレベル違うから」「あんまカクテルわかんないんだもんな、飲んだらわかるよ」と自慢げに語る豊本さん演じる常連の態度は、筆者としては反面教師にしたいところ(笑)。まあとにかく、東京03単独ライブ『いらいら』のオープニングコントとして、サクッと観客を「いらいら」な世界観に惹き込む最高の一本になっている。