今回はコラム。長ったらしい話になるので、まず要約を。
「バーに興味があるけど、何頼めば良いのかわからない!だからなんか緊張して結局行ってない・・・」ってそんな方はとにかくジントニックをオーダーしてくれ!!!!
今回のコラムはこれが言いたいことのほぼ全て。以下、ただのバー好きが「どうすればみんながバーの重い扉を開けて、リラックスしたバータイムを過ごしてもらえるのか」を考えたことの顛末を書いていく。
今回はバーでの定番カクテルを紹介する。カクテルの中でもマティーニ・マンハッタン・サイドカー・ギムレットなどのショートカクテルを中心に、それぞれのカクテルの魅力を少しでも伝えたられたらと思う。 後半にはバー好きの筆者的におすすめなカクテ[…]
基本的にバーはカクテルを嗜むところ
大学生・専門学生含む20代の方々には、漠然と「バー(オーセンティックバー)に興味あるけど何頼めばよいかわからない、だから結局バーに行けてない」って人が結構な割合でいると思う。
先日、友人から「バーではカクテル飲んじゃいけないと思ってた」といわれて衝撃を受けた。理由を訊くと「だってカクテルってカシスオレンジとかでしょ?そういうのってバーでは飲んじゃいけないものかと・・・」とのことだった。
筆者は驚いたけど「バーに行かなければそれくらいの認識が普通なのかも、だって居酒屋とかでしか飲まないと滅多にスタンダードカクテルとかに出会わないし」と腑に落ちた・・・が、これはバー好きの筆者としては喜ばしくない!
それはなぜか?
バーとはカクテルを楽しめる酒場で、バーテンダーとはカクテルを来客の好みに合わせて美味しく仕上げる職人だ。カクテルなくしてバー・バーテンダーは成り立たない。これは絶対的な基本。
もちろん、ウィスキーやワインなどが豊富なバーもあるけど、それはあくまでもバーの+αの要素だと思って欲しい。より多くの常連をつけるには、その+αの魅力が大事だったりするみたいだけどね。
「バーとは?バーテンダーとは?」みたいなことを考え始めると、色々と難しいし、本筋から逸れていくためそれは別記事に譲るとして・・・。
とにかく、このコラムでは「バー(オーセンティックバー・ホテルバー)に興味あるけど何頼めばよいかわからない、だから結局バーに行けてない」って方に向けて、何を飲めばベターなのか、そして筆者的バーデビューベストカクテル「ジントニック」について書いてみたい。
バー初心者におススメなカクテルの条件
前提として筆者は飲食業界の人間ではない、あくまでもただの「バーをひたすら巡って、夜な夜な酔いどれているバー好き」だ。飲食店側からしたらただの客でしかない。そのため、多少はカクテルやウィスキーなどのお酒について知っているものの、残念ながらバーテンダーやスタッフの方々が思っている<バー初心者に本当に飲んで欲しいカクテル>みたいなものは知らない。そもそもそんなカクテルがあるのかもわからない。
でもだからこそ、バーに行くのを躊躇してしまっているバー初心者に向けて同じ客として、「バーデビューで楽しく落ち着いて過ごせるように少しはアドバイスできるのではないか!!それを伝えたい!!」・・・と思う(笑)。
この情熱を書き綴る前に、ひとまずバーデビューに最適なカクテルの条件を考えてみる。
チェーン店含めて大衆居酒屋のメニューにもある
いくらここ数年飲み会や会食をしづらい風潮があるからといって、学生時代・新社会人時代の数年間を通してチェーンの居酒屋・大衆居酒屋が全くの未経験な方はあまりいないだろう。
チェーン店ではいくつかのカクテルがグランドメニューで用意されているはずだ。例えば、カシスオレンジやカシスウーロン、スクリュー・ドライバー、ジントニック、ソルティ・ドッグなどは、筆者と同じアラサー以下の世代の方ならば誰でも飲んだことがあると思う。
あの良い意味で適当に作られたカクテルの美味さは異常だ。しょっぱいつまみが進み、愚痴・推しの話題が捗りまくる。バー巡りでは一晩でダウンする筆者だが、居酒屋だとウーロンハイ・カシスオレンジ・厚揚げ・たこわさ・ぼんじりがあれば2日は飲み続けられる。
話が逸れた。とにかく、そういった身近な酒場で用意されているカクテルの味・香りは、大抵の方が知っているだろう。もし、バーでもそんな身近なカクテルを飲めるとしたら、バー初心者の方でも安心してバーへ行けるのではないだろうか?
正々堂々とカウンター席に座って、「とりあえず○○で!」と馴染みのカクテルを自信持ってオーダーする・・・それだけでも十分良いバーデビューになるはずだ!!!
一杯目のカクテルをオーダーできれば、もう心配することはない。2杯目以降のことはバーテンダーとテキトーに雑談しながら、バーの雰囲気に多少なりとも馴染んでから考えればよいのだから。
一定の修業を積んだバーテンダーなら作れる(喜んで作ってくれる)
繰り返しになるが、バーテンダーはあらゆるスピリッツ・リキュール・果物などを組み合わせて、美味しいカクテルを作る職人。
来客からの曖昧なオーダーにも大抵は柔軟に応えてくれるし、雑誌やネットのバーテンダーへのインタビュー企画とか見てみるとほぼ「最初の一杯目のルールなんかない。なんでもオーダーして良いんですよ」って書いてある。
だが「曖昧な好みを伝えるなんて気が引けるな・・・変なもの頼んで戸惑われたらどうしよ」とか、「なんでも頼んで良いって言われてもな~・・・」と遠慮してしまうのがバーに不慣れな客の性分というもの。筆者もしばらくはそうだった。
それでは、実際にバーではどんなカクテルが頼まれているのか、それはスタンダードカクテルと呼ばれるものだ。スタンダードカクテルとは例えばマティーニ・マンハッタン・サイドカーなどを指し、甘み・酸味・苦味のバランスが良く、アレンジの幅も広い。基本のレシピがありながらも、アレンジの幅が広いからバーの個性も出やすいためバーでは大人気だ。
だが、普段バーに行ってない方にとって、そのカクテルを頼むハードルは意外と高い。
まず、スタンダードカクテルの代表格のほとんどは、居酒屋のメニューに置いていない。なんせ昨日今日入ったバイトが片手間に作れるものじゃないから。というか作られてたまるか。
居酒屋にないのだから身近なカクテルじゃない。当然、味・香りは全く想像つかない。グラスに氷が入っていないショートのスタンダードカクテルに至っては、<サーブされたら15~20分以内に飲んだ方が良い>なんていう飲み方のマナーもあったりする。
しかし、そんなスタンダードカクテルの中にも、居酒屋に置いてあって一般認知度が高く、バーテンダーも丹精込めて喜んで作ってくれる、そして飲み方の細かいマナーがなくてサクッと楽しめる、まさにバーデビューに打ってつけのカクテルがある。それが・・・?
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スタンダードカクテル・ジントニックの魅力
超絶有名なカクテル「ジントニック」を知らない方はいないと思う。筆者はこのジントニックこそが、バーデビューに最適なカクテルだと考えている。理由は一般への認知度の高さと飲みやすさ、居酒屋とバーで味わいのレベルが段違いでバーの良さを感じられるといったところだ。
飲みやすさと人気
ジントニックは、基本的に<ジン+トニックウォーター+ライムなどの柑橘類>で作るロングカクテル。グラスに氷が入っていて、ゆっくり飲んでもぬるくならないためお酒に弱い方でも安心して飲める。
また、甘さ・酸味・苦味がほどよくマッチしており、炭酸の苦手な方でなければ大抵の方々が楽しめる飲みやすさが魅力だ。バーでも一定の人気があり、バー好きの間でもバーでの一杯目にサクッと飲まれている。
バリエーションが豊富で、バーの個性を楽しめる
ジントニックはシンプルなレシピで作られるが、バーによって香りや味わいのバリエーションが楽しめるカクテルでもある。
ジントニックのベースはもちろんジンとよばれるスピリッツの一つで、製造過程のどこかでジュニパーベリーが使用されていればジンと名乗れるほど気軽に作れる酒。
その造るハードルの低さもあって、近年ジンが国内外でたくさん作られてきた。ジンの蒸留所やジン専門バーがたくさんできて、バー界隈には一時“クラフトジンブーム”が巻き起こっていたのは記憶に新しい。そのため、今はジンに様々な種類があり、銘柄ごとに色々な香り・味わいが楽しめるようになっている。
さて、そんなジンには筆者が「バーテンダーにジントニックのベースとして愛用されている」という観点から、独断と偏見で決めたジン四天王がいる。それは「タンカレー」「ビーフィ―タ―」「ボンベイ」「ゴードン」の4つだ。
統計は取っていないが、この4つはバーでジントニックのベースに使用されている機会が圧倒的に多い。四天王にはそれぞれジュニパーベリー特有のしっかりとした飲みごたえや、クリアでキレのある味わいなど、多少なりとも魅力的な個性がある。
なぜジン四天王がベースとして使用されているんだろうか。バーテンダーからしてみれば、この4つのうちどれかで作っておけば、居酒屋とはまた違った次元の間違いなく美味しい“バー流のジントニック”が仕上がるのかもしれない。
もちろん、柑橘を使用せずとも甘み・酸味を感じられる「タンカレーNo.10」や、飲みやすく品のある仕上がりになる「No.3」などもベースのジンとして人気が高いが、ベース採用率は四天王に大きく劣っている。
このほかに、国内外で造られたクラフトジンを使用したジントニックも個性的で美味しい。例えばジュニパーベリーを強く感じる「ローンウルフジン」や、冬から春先にピッタリの「虎ノ門蒸留所 いちご 季節のジン」、華やかなボトルデザインが目を惹く「サイレントプールジン」などは、たまにジントニックのベースとして使用されている。
もちろん、ジンのほかにもトニックの種類や、ライム・レモンなどの使用する柑橘類との組み合わせ、ステア・ビルドのやり方次第でよりジントニックの味わいは豊富になっていく。
以上のようにジントニックは気軽に飲めて、且つバーごとの個性・こだわりも楽しめるバーデビューにピッタリのカクテルなんだ!
居酒屋にあるほかのカクテルも考えてみる
ジントニックのバーデビューに対する有能さを語ったところで、最後に居酒屋にあるほかのカクテルはバーデビューに向いているかちょっと考えてみる。
居酒屋カクテルの代名詞・カシスオレンジ(カシス系カクテル)
まず、カシスオレンジなどのカシス系。大学生が一番最初に飲むカクテルで、ウィスキーなどに手を付け始めたら一番最初に馬鹿にするカクテル。すみません、筆者の偏見です、筆者は今でも大好きです(笑)。
とにかく、カシスオレンジはバーにおいてお世辞にも人気カクテルとはいえないし、良くも悪くも甘みが強すぎて味のアレンジも利かせづらいと思う。この時点で、せっかくのバーデビューの一杯としてあまりおススメできない。もちろん、バーテンダーはオーダーすれば可能な限り美味しく作ってくれるとは思うが・・・。
夏におすすめ!ソルティ・ドッグ
グラスの縁に塩が付いていて、どうやって飲めばよいのかわからない初見殺しのカクテル。甘みと酸味があって飲みやすい。筆者はバーだと、夏限定でフレッシュフルーツカクテル「すいかのソルティドッグ」を楽しむ。大抵のバーで作ってもらえるため、夏は特におススメ。
一点、懸念点を挙げるとすれば、ジントニックと比べて香り・味わいの幅が狭くて、バーの個性を感じにくいことかな?それとも実は色々個性があるのかしら?ご存知の方は教えてほしい(笑)。
刺激的な味わいが人気のモスコ・ミュール
ジンジャーの辛みとライムの爽やかさが魅力のカクテル。多くのバーでは銅製マグに注いでサーブされるため、居酒屋とは違うバーならではの特別感を得やすいかも。
また、バーによってはジンジャービア―というより刺激的な材料を使用したり、銀座の一部のバーには裏レシピがあったりする。ジントニック以上にツウ好みのカクテルかもしれない。ジンジャーの辛みが苦手な方以外には、バーデビュー記念におススメのカクテル。
女性は要注意?スクリュー・ドライバー
ウォッカとオレンジジュースで作る人気カクテル。かわいい顔と味をしながら度数が高いため、「レディキラー」の異名があるイヤらしいやつ。そういえば、筆者はバーでオーダーしたことない気がする・・・それにバーで飲まれているのも見たことないかも。
バーではフレッシュなオレンジを使用していたりするのだろうか?すみません、バーデビューに向いているかちょっとわからない(笑)。しかし、少なくともジントニックの方がバーデビューにベターなカクテルだと思う。
合言葉は「とりあえずジントニックで」
以上、「バー(オーセンティックバー)に興味あるけど何頼めばよいかわからない、だから結局バーに行けてない」というバー初心者の方に向けて、カクテルとは?ジントニックの魅力とは?といった観点で色々書き綴ってみた。
皆さんもバーの最初の一杯に困っているならば、ぜひジントニックを堂々とオーダーしてみてほしい。それでは、いつかどこかのバーで会いましょう!その時の合言葉は「とりあえずジントニックで」!